みんなの手によって運び入れられる釈尊転法輪像
カルナタカ州の続き

釈尊像を本堂に安置し、来賓が順に大きなろうそくに点火し、
パーリ語のおつとめをして開眼供養を済ませ、隣の大テントの壇上に移動した。
開眼供養。元歌手の尼僧さんも嬉しそう。
気がつくと、まずいきなりゲストの一人が演壇で熱弁を振るっている。
喧噪の中でプログラムは始まったらしい。
壇上中央にボディー師と地元のダンマナンダ比丘に挟まれてメーンゲストとして座った。
比丘尼も一人来ている。
ダリット出身の現役政治家で7回連続当選という経歴を誇る92歳の国会議員と、
大勢の政治家が招かれている。
大テントの下に1,000人ほどの人が集まっているのだが、
そうした設備のレンタル料はゲストのご祝儀で賄うわけで、
実行委員会としては大勢呼ばないと、経費が出ないということである。
最初の1人の話からしてボディー師にもよくはわからないらしい。
言葉が違うからである。
しかし、坊さんの批判をしているという。
比丘サンガは何もしない。ろくな坊さんはいない、と。
アンベードカルが常々、比丘サンガは巨大な怠け者の集団だと批判的であったことを援用しての発言らしい。
続いてサングラスのイスラムの議員も長々としゃべる。
赤いターバンの92歳のおじいちゃん議員は昔は国民会議派だったが、
現在はインド人民党に属し、ダリット出身だが特別なヒンドゥー思想を持っているらしい。
なかなかの狸で、飄々ととぼけたことを言ったり歌を歌ったりして聴衆を笑わせる。
やっと小生の番になり、ボディー師がヒンディーに通訳してくれる。
「きょうは、こちらのお寺でバグワン・ブッダ像をお連して開眼供養をした日です。
ところで、タターガタ(如来)とボディーサットバ(菩薩)像では目頭と目じりの色が違うのです。
あとでゆっくりお参りしてよくご覧になってください。
タターガタ(如来)の目頭と目じりは青く塗り、ボディーサットバは赤く塗るのです」
聴衆が耳慣れない話にきょとんとしている。
その時イスラム教徒の議員が、さすがに異教の偶像の説明に、いたたまれなくなったのか、
目の前を横切って壇上正面から退席していった。
「ですからババサーブ・アンベードカル菩薩の像をごらんなさい。その目頭と目じりは赤く塗ってあるはずです」
ここでまた数人が退席するのが見えた。
胸に青いリボンをつけていたので、アンベードカルが創設した共和党の党員であろう。
アンベードカリストであっても仏教徒とは限らないから、
アンベードカルを菩薩と考えることに反発があるのだろうと思う。
「今日、お連れした如来の姿形は、私が作りましたが、
これから皆様が真剣に信仰する心によって、タターガタは真のタターガタとなられ、
皆様を見守ってくださるでしょう」と締めくくった。
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