(3)

不幸なことに、不平等と不公正のイデオロギーに基づいたヒンドゥーイズムは
意欲(向上心)の発達のための、いかなる部屋も残していない。
アンタッチャブルズがヒンドゥーイズム、極悪非道の教義のくびきの下に隷属し続ける限りは、
彼らはよりよい生活のためのいかなる希望も、いかなるインスピレーション(英知)も、いかなる意欲も持ち得ない。
アンタッチャブルズは、数百人のクラークス(店員)より以上のものを決して生み出さなかった。
その彼ら哀れな店員たちは、彼らの腹を満たす以外のことは何もしようとしないだろう。
他になにが彼らにできようか?
そこでわれわれは彼らを不公正とさまざまな種類の残虐行為から守るために、
スーパー・クラークス(店員、事務員以上の地位の人間)を必要とするだろう。
アンタッチャブルズのただの集団では、何も獲得しないだろう。
スケジュールドカースト(指定カースト)の人々は決して意欲を感じられなかったし、
ヒンドゥーイズムからはインスピレーションを引き出せなかった。
人はもし発達するために自由であれば霊感を引き出す。
ご承知のとおり、製粉工場の工場主たち、彼らは労働者から労働をしぼりとる工場の監督を任命する。
彼ら監督は彼らの心の成長させるための時間を少しも持たないので、依然として彼らの仕事にたいへん夢中である。
彼らが財産を積み上げて、経済的に巨人になる間、彼らは依然として精神的矮小者だ。
われわれは、われわれの心を成長させ、教育するためにこの運動を始めた。
 もしあなた方が私自身の体験をひくことを許してくださるなら、私はあなた方に私がいかにして教育を受けたかを語りましょう。
貧しさのために私を身に腰布より以上のものもまとわずに学校へ通うのが常だった。
私は学校で水を飲むことができなかった。私は何日もの間、水なしで過ごさねばならなかった。
私の母は私に他人様には敬意をもって話しかけるよう教えた。
私の家庭にはしつけもしくは戒律があった。
それゆえ、私はいつも郵便屋のことを、ポストマン・ママと呼んだ。
学校にはマラータのカーストの女性の用務員がいた。彼女には私のカバンでさえ不可触であった。
喉が乾いても私は自分で蛇口に触れることを許されなかった。
アンタッチャビリティーはボンベイのエルフィンストーンカレッジでさえ見受けられた。
このような状況の中では何が期待できようか?
 アンタッチャビリティーは教育だけでは拭い去れない。
イギリス支配体制の間、私は総督府議会の一員だった。
ロード・リンリスゴーが総督だった。
あるまとまったお金が普通教育に経費として割り当てられた。
これ以外に総計3ラクルピーがアリガールのモスレム大学に対して承認され、
また同額がベナレス・ヒンドゥー大学に対して承認された。
総督と話し合うついでに、ある日、私はこの問題を取り上げた。
私は総督に言った。30万ルピーもの額がアリガール・モスレム大学に与えられた。
そして同額がベナレス・ヒンドゥー大学に対し都合された。
アンタッチャブルはヒンドゥーでもモスレムでもない。
しかし彼らはこれらのどちらの社会よりも全く背後に押しやられている。
彼らの人口に見合うだけの額も、スケジュールド・カーストの人々に対して、
彼らの教育のために割り当てられるべきだ。
ロード・リンリスゴーは私に、このことに関して私が言わんとすることをすべて書いて提出するよう求めた。
私はメモを提出した。ヨーロッパ人はおおむね外見は同情的に見える。
彼は私の申し出に同意した。
そしてスケジュールド・カーストのために30万ルピーを承認した
さて、その金をどのように使うかについての問題が起きた。
総督はスケジュールド・カーストの女子の教育に、この金が使われることを望んだ。
そして彼女たちのために寄宿舎を立てることを示唆した。
もしこの金がこのやり方で、スケジュールド・カーストに属する無学な少女たちに教育をつけるために、
寄宿舎を立てることに使われるならば、私は思った。
すぐにわれわれは彼女たちによい食物を用意するためのお金を要求すべきだと。
我々のように貧しい者たちは、いったいどうやって彼らの娘たちのために、これらのものを得ようというのか?
どこから彼らは寄宿舎での食事の費用に充てるお金を得るのか?
我々の少女たちは料理の技能の訓練などは必要でないのだ。
何がこの教育の結果であり、さらに何が彼らの結婚の問題であるか?
政府が他の事柄にかかずらっている間に、総額をスケジュールド・カーストの教育のために使用するよう指定した。
私は一、二度、ロード・リンリスゴーのところへ行った。
そして率直にこの問題について話した。
私はこの質問を総督にぶつけた。
「私は500人の大卒よりも優れているでしょうか。」
「もちろん」と、ロード・リンリスゴーは答えた。
それで私は尋ねた「どうして私がそう言うか。その理由をあなたはご存じですか。」
彼は知らなかった。私は総督を納得させなければならなかった。
外国の大学で教育を受けた一人ひとりの人間は、インドの大学の卒業者50人を合わせたも同様なのだということを。
私は一人で50人の大学卒業者に匹敵するのだ。
私の教育が徹底しているので、私は自信をもって政府のいかなる役所へも就職できる。
私は彼らが重要な職務につくことができて、そこで彼らが社会の向上のために
最も効果的なやり方で働けるような学問のある人間を必要としているのだ。
もしあなたが本当にアンタッチャブルズの向上のために何かをしようと望んでおられるなら、
あなたは自らの状態を改善しようとするような人々を生み出さなければならないでしょう。
単なる事務員の養成は改善にならないでしょう。
ロード・リンリスゴーは私の申し入れに同意した。
結果はスケジュールド・カーストに属する16人の少年たちが、より高い教育のために海外に派遣された。
これらの16人から、あるものはこの好機をフルに活用し、他のものはそうしなかった。
彼らはただ生焼けになって帰って来た。
その理由はヒンドゥーイズムの中にスケジュールド・カーストのためのいかなる熱意も存在しないからだ。
そのような雰囲気はブラーミンや他のカーストの者たちのためにはあるにもかかわらず。
朗らかな雰囲気の欠如、人の向上のための同じ精神の欠如のほかには、ヒンドゥーの宗教にはいかなる平等もない。
ブラーミンはクシャトリヤに対して優越とみなし、クシャトリヤはバイシャに対して優越とみなし、バイシャはシュードラに対して優越とみなしている。
それは人間の平等性にのっとっていない。
われわれはいつヒンドゥーイズムの中の堕落した地位を脱するかを知らない。
私はかってガンディー・ジーに会見した。
ガンディー・ジーは私に語った。チャトール・ヴァルナを信じている、と。
「どのようなチャトール・ヴァルナを」と、私は問うた。
私の手を、小指を下にし、親指を上にして指し示した。
またこのようにーーー手のひらをテーブルの表面に平たく伏せた。
指は横に並んだ。
「あなたはチャトール・ヴァルナによってなに意味づけるのですか?
どこが始まりで、どこが終わりなのですか?」
私はガンディー・ジーに問うた。
ガンディー・ジーは満足な方法で答えられなかった。
同質の雰囲気の欠如の上に、ヒンドゥーの間には平等性の欠如もまた存在する。
この宗教とこの社会の階級体制は我々を没落させた。
しかしこれはここで止まろうとはしない。
これはヒンドゥー自身を、そして終局的にはインド破滅させるだろう。
私はいたずらにヒンドゥー教を告発するのではない。
この宗教はだれも救うことはできない。
そこに残された者は、いかなる生命も持っていない

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