(7)

第五場

ーーアングリマーラ、祇園精舎に帰ってくる
アングリマーラ 「どんなにされようと私の犯した罪の報いなのだ。辛抱しよう」
ーー弟子の一人が傷ついたアングリマーラを見つけて駆け寄る
弟子 「あっ!どうなさったのです」
ーー釈尊の前に抱えられていく。
釈尊 「アングリマーラよ。堪え忍ばなければいけない。お前は自分のした行いの報いによって、長い間、受けねばならぬ苦しみを今、受けているのだ」
アングリマーラ 「犯罪者となった私もお釈迦様のお弟子となった今はどんなことでも堪え忍びます」
釈尊 「そうだ。それでよい。お前の罪は消えていくであろう」
ーー弟子マハー・カーシャパ、托鉢から帰ってきて
弟子マハー・カーシャパ 「お釈迦様。近くの家の身ごもった女が、アングリマーラが来たと聞いて、驚きのあまり、産気づいて苦しんでおるそうにございます」
釈尊 「そうか。それはかわいそうなことをした。アングリマーラよ。汝は直ちに行ってこう言いなさい。『私は生まれてからこの方、一度も殺生をしたことがない。このことが真実ならば、汝は安らかに産むであろう』と話しなさい」
アングリマーラ 「世尊よ。何を仰せられます。私は九十九人の人の命を奪いました」
釈尊 「アングリマーラよ。道に入る前は前世、前の生涯である。生まれて以来ということは、道に入ってからという意味であるから、嘘ではないのだ。恐れずに行くがよい」
ーーアングリマーラ、感涙にむせびながら
アングリマーラ 「はい!」

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