(6)

第四場

(NA)翌日から、アングリマーラは食(じき)を乞うために、鉢(はつ)をとって街へ托鉢に出ましたが、アングリマーラが来たということは再び街を恐怖の中に陥れました。
ーー托鉢の僧、数名、下手から上手へ静かに歩く。続いて少し遅れてアングリマーラが現れる。一人の女が食を施そうとする。
通行人 「やっ。その男は姿こそ変わっているがアングリマーラじゃないか」
「え!あの恐ろしい人殺し、まあ・・・・あれ〜助けて!」
通行人B 「おい!どうしたんだ」
通行人C 「なんだ、なんだ!」
通行人A 「こいつはアングリマーラだぞ!」
通行人BC 「なんだと!」
アングリマーラ(苦しげに) 「私は今はお釈迦様のお弟子です」
女B 「よくも私の夫を殺したな」
男A 「息子の命を返してくれ」
男B 「よくも大勢に苦しい思いをさせたな」
男A 「こうしてやる!」
ーー人々は石を投げつけ、杖で打つ、唾を吐きかける。アングリマーラ、上手へ消え、また下手へ向かって歩く。
「お〜い、アングリマーラが来たぞ」
ーー人々が投げた石が当たってアングリマーラはよろめく。額が割れて血が流れる。
アングリマーラ 「ああ〜」
人々 「悪の報いだ。やっつけろ!思ったより弱い奴だ」
人々 「この人殺し!」「悪党め!」
ーーアングリマーラ、たまらず走ってその場から逃れる。

次へ