「釈迦念仏解説」

             

  真実なるものですという叫びこそ

       ナムホンシシャカムニブツです。

仏の「縦眼(たてまなこ)」は「真実そのもの」のしるし

美しい石仏をご覧下さい。普通でないところに気がつかれましたか。  
    
注意して見てみますと、異様なお顔ですね。
額の真ん中に 眼が縦に開いているのです。  
密教という仏教の流れの中では、手が六本や千本、顔が三つや十一ある姿を表現していますから、
見慣れてしまっているのですが、冷静に考えてみると怪物のような表現で何を伝えようとしたのでしょうか。 
「世間虚仮(せけんこけ)、唯仏是真(ゆいぶつぜしん)」という聖徳太子のお言葉があります。
人間社会は喜びと苦しみ悲 しみが相半ばする世界であり、虚仮不実なのです。
このことは遥かな昔から言われ続けていますが、人類はさまざまな過ちを繰り返しています。
この過ち、この苦しみの中にいて、一方で人類は真剣に真実 を捜し求めてきたのです。
しかし、すでにお釈迦様は真実を見つけられ、
「奇なるかな、奇なるかな、一切衆生ことごとく如来の智慧徳相を具有す」と叫ばれました。
その如来の徳相の一つが縦眼なのです。  
そしてまことに有難いことに、私どもにもそれはそなわっているのだよ、と説き続けられました。  
ただそのことに気がつかないだけなのです。
深く深く自分の心を見つめるという修行の結果、この仏像の額に開いた第三の眼、自覚の眼に象徴されるように、
いつか、如来の無限の 智慧と慈悲に目覚めることが出来るのです。  
お釈迦様によってすでに二千五百年以上も前に、示されたこの悟りの道を信じ、実践していくのが仏教徒であります。
私どもは喜びとともに、声高らかに称えてまいりましょう。
「わたくしは真実なるものです」、という仏性の叫びが南無本師釈迦牟尼仏というお念仏なのです。  
背筋を伸ばして胸の前で合掌し、一回に一息いっぱい使って、
大きな声でお腹の底から、ゆっくり三回お称えください。
   南無本師釈迦牟尼仏 南無本師釈迦牟尼仏 南無本師釈迦牟尼仏